新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが引き下げられてから8日で1年。それまでの「2類相当」から、季節性インフルエンザと同じ「5類」となったことで、行動制限の法的根拠がなくなり、社会・経済活動はほぼコロナ禍以前に戻った。ワクチンの無料接種や治療薬の公費負担も3月末で終了し、通常の医療体制に移行している。
 5類移行に伴い、感染者数は毎日の全数報告から、約5000の医療機関からの週1回の報告に変わった。国内では2020年1月に初めて患者が確認されて以降、流行を繰り返したが、移行前を超える感染拡大は起きていない。現在はオミクロン株の一系統「BA・2・86」が変異した「JN・1」が主流だ。
 全額公費負担だった治療薬については、昨年10月から支援規模を縮小。最大9000円の支払いを求めていたが、今年4月から支援を全廃し、所得などに応じて1~3割の自己負担となった。
 ワクチンの無料接種も3月末で終了した。4月以降は主に65歳以上が対象の定期接種となり、自己負担額は1人当たり最大7000円となる。月額1万円の入院費補助や、医療機関に支給してきたコロナ患者用の「病床確保料」も終了した。
 一方、乳幼児がかかりやすいヘルパンギーナやRSウイルスなど、新型コロナ以外の感染症は増加傾向にある。免疫の低下などが原因とみられ、今年に入ってからは新型コロナとインフルエンザの同時流行も起きた。
 政府はコロナ禍の教訓を踏まえ、新たな感染症危機に備えた国の行動計画を初めて抜本的に改定することを決めた。医療逼迫(ひっぱく)の恐れがあれば、科学的な知見が不十分な段階でも、緊急事態宣言などの強い措置を講じることや、感染対策を柔軟に切り替え、社会・経済活動への影響軽減を図ることを明記した。意見公募を経て、6月にも閣議決定する。 
〔写真説明〕厚生労働省=東京都千代田区

(ニュース提供元:時事通信社)